どうも、現役で特養の生活相談員として働く「てんぱまる@tenpamal」です。
社会福祉士・公認心理師などの資格を所持しています。
日本では1990年代頃より「働き方改革」「ワーク・ライフ・バランス」が意識され、働き方に対する価値観の多様化が進んでいます。
福祉・介護業界では、処遇改善加算・特定処遇改善加算の算定要件となっていることも影響し、キャリア支援に力を入れる法人・事業所は増えました。
そして近年では、少子高齢化・グローバル化・コロナ禍による社会・経済状況の変化も重なり、働き方に対する価値観の多様化は、さらに加速しています。
このような時代の流れから、現代では法人・施設・施設・事業所単位でキャリアを考えるに留まらず、個人で理想のキャリアを考え、「キャリアデザイン」を行うことの必要性が高まっています。
- キャリアデザインってなに?
- キャリアパス・キャリア形成・キャリアプランなど似たような言葉があるけど何が違うの?
- なぜキャリアデザインが必要なの?
- キャリアデザインを行うためにはどうしたらいいの?
- 何から手をつけたら良いかわからない・・・
- そもそも自分の理想がわからない・・・
このような疑問や不安を抱えている方は必見です。
この記事を読むことで、特養の生活相談員になりたい人がキャリアデザインを行うメリットと手順について理解が深まります。
「とりあえずなりたい」という気持ちだけでは、特養の生活相談員になれません。
最後まで、ご覧ください。
キャリアデザインとは
わたしの考える「キャリアデザイン」とは、「自分自身の理想とする働き方(生き方)を主体的・自律的に設計すること」です。
法人・施設・事業所・上司などにキャリアを決められるのではなく、あくまでも自分自身で主体的・自律的に考え、設計することを意味します。
「職業」「職種」「役職」「資格」「給料」などの仕事に関することだけではなく、価値観やライフスタイルなどを含め、もっと広く捉えて設計しなければいけません。
キャリアを単なる「働き方」として捉えず、「生き方」という広い意味合いで捉えることが求められます。
キャリアパス・キャリア形成・キャリアプランとの違い
次にキャリアデザインと混同しやすい言葉と、それぞれの違いについて解説します。
それぞれを分かりやすく表したのが、下記の図1となります。
1.キャリアパス
キャリアパスとは、「1つの法人・施設・事業所の中で、目標とする職種・役職に就くために必要な道筋」のことです。
「法人・施設・事業所のキャリアアップモデル」と言い換えて良いでしょう。
あくまでも「1つの法人・施設・事業所の中で完結するもの」であり、職員が仕事を通してキャリアを積んでいくためのステップです。
下記の図2が「公益社団法人 全国老人福祉施設協会」でモデルにしているキャリアパスです。
特養の生活相談員になるためのキャリアパスを示している法人・事業所も多くあります!
2.キャリア形成
キャリア形成とは、「職業能力を習得するための活動」のことです。
目標とする職種・役職に就くために資格取得を目指すことは、キャリア形成の一つと言えるでしょう。
1つの法人・施設・事業所の中のみならず、福祉・介護業界全体、場合によっては他業種への転職も含めます。
つまりキャリア形成とは、キャリアパスよりも広い概念・意味合いとなります。
下記の例は、実際にわたしの友人が積み上げたキャリア形成です。
「大学の先生になりたい」という夢をみごと叶えた、成功事例ですね。
>>国家資格・公的資格・民間資格の違いってなに?それぞれの定義や分類の要点をわかりやすく徹底解説
3.キャリアプラン
キャリアプランとは、「キャリアパス・キャリア形成のために必要な具体的行動計画」を意味します。
キャリアプラン=具体的な行動計画そのもの
言ってしまえば、キャリアプランを考えることはキャリアデザインの一部です。
キャリアデザインを行う手順のひとつに、「キャリアプランを考える」という工程があると言えます。
特養の生活相談員になるためには、どうしたら良いかを考える必要がありますね。
キャリアデザインを行うメリット
続いて、キャリアデザインを行うメリットについて解説していきます。
キャリアデザインを行うメリットには、下記の4つがあげられます。
1.自分自身と向き合うきっかけになる
キャリアデザインを行うことは、自分自身の理想とする働き方(生き方)を考えるきっかけになります。
自分自身の価値観やライフスタイルなども含めて、主体的・自律的に仕事を捉え直すことで、「働くことや生きることに対する考え方」に変化をもたらします。
「給与」「勤務地」「やりがい」「ワークライフバランス」「法人・施設・事業所の知名度」「社風」「ワークライフバランス」など、具体的に自分自身が何を大切にしたいのかを考えることに繋がります。
つまり、これまで「ただがむしゃらに働いてきた方」「なんとなく仕事をしてきた方」「仕事と向き合うことを避けてきた方」などが一度立ち止まり、自分自身の働き方(生き方)と向き合うきっかけとなり得るのです。
「特養の生活相談員になったけれど、思うような仕事じゃなかった」と後悔することを防ぐことにも繋がります。
>>働き方別に紹介!介護職が働ける職場の種類と特徴 ~簡単フローチャート付き~
2.自分の強み・個性・市場価値が明確になる
キャリアデザインを行うことで、自分の強み・個性を明確にすることができます。
また、自分の知識・技術(スキル)・経歴・資格などを客観的に評価することで、組織内における市場価値が明確化し、自分が成すべき役割がイメージできるようになります。
実力主義・成果主義の傾向が強まっている現代において、市場価値としての自分を客観的に評価できることはとても重要です。
他の業種と比べ、まだまだ年功序列が残っている介護・福祉業界です。
けれども、最近では若くてリーダーシップのある方が施設長・管理者となるケースも増えています。
特養の生活相談員を経験することは、その後のキャリアアップにも繋がるでしょう。
30代~40代の施設長・管理者も増えましたね~
3.自分の目標が見出せる
キャリアデザインを行うことで「なりたい理想の自分」を逆算して考え、現在取り組むべき目標を見出すことができます。
キャリアデザインと聞いて、「若い世代が行う自己啓発」のように考える方もいますが、決してそんなことはありません。
40代・50代などでキャリアチェンジを検討する際においても、キャリアデザインは必要とされています。
なぜなら、福祉・介護業界は人材不足のため、他業種からのキャリアチェンジでも、自分の望む働き方ができるようになる可能性が高いからです。
40代・50代からでも、特養の生活相談員になることは可能です!
「人生100年時代」と言われている現代において、キャリアデザインはどの世代からでも行うことができると言えます。
>>無資格・未経験者でも大丈夫?初任者研修からより実務者研修からの受講をおすすめする人の特徴4選
>>今からでも遅くない!通信課程で社会福祉士を目指すメリット3選
4.リスクマネジメントに繋がる
キャリアデザインは、順風満帆なキャリアイメージだけを設計するものではありません。
「自分の望んだ働き方ができない場合」や「失業」といった、ネガティブなことも想定しておく必要があります。
キャリアデザインを行うことで、「望んだ働き方ができるように資格を取ろう」「失業しても困らないように貯蓄しておこう」「転職エージェントに登録してみよう」などといったことを考えるきっかけになります。
つまりキャリアデザインは、「自分の望んだ働き方ができない場合」や「失業」への備えとなり、リスクマネジメントに繋がると言えるでしょう。
「特養の生活相談員のポスト」は限られているため、所属する組織で望みがなければ、転職は必須です!
キャリアデザインの手順
ここからは、キャリアデザインの手順を解説します。
キャリアデザインは下記4つの手順で行っていきます。
1.現状を分析する
まずは、知識・技術(スキル)・経験・能力(強み・個性)など、自分の現状を分析します。
特に「何から手をつけたら良いかわからない」という方は、現状分析が不十分である可能性が高いため、しっかりと行っていきましょう。
キャリアデザインを行うことに慣れていない場合は、キャリア・プランシートを使うこともよい方法です。
「キャリア・プランシート」とは、履歴書の代わりとしても使われる職務経歴をまとめた書類のことです。 主に就職や転職の際に使用されますが、自分の過去を振り返りながら理想のキャリアを実現するための指標としても活用できます。
厚生労働省が運営する「ジョブ・カード制度 総合サイト」に「キャリア・プランシートの様式・記入例」がありますので、参考にしながら活用してみましょう。
福祉・介護職だけに限らず、どの職種においても最低限の現状は網羅できるでしょう。
さらにより客観的に分析するためには、家族・友人・上司・同僚など、周りに意見を求めることも有効です。
なによりも一番重要なのは、言語化・可視化(アウトプット)し、用紙やデバイスに記録することです。
現状分析の過程で、自分の強み・新たな可能性に気づけることも多くあります。
また「給与」「勤務地」「やりがい」「ワークライフバランス」「法人・施設・事業所の知名度」「社風」「ワークライフバランス」など、自分が実現させたい最優先事項を明確にすることにも繋がり、転職による失敗・後悔を減らすことができます。
>>利用しないと損する!転職サイトよりも転職エージェントを選ぶメリット7選
2.理想とする姿や将来の目標を定める
「自分らしいキャリアとは何か」をもとに、理想とする姿や将来の目標を定めます。
「そもそも自分の理想がわからない」という方の多くは、ここがイメージできていません。
自己分析と同様に、ここでもしっかりと言語化・可視化(アウトプット)し、用紙やデバイスに記録しましょう。
「3年後」「5年後」「10年後」などと、将来を段階的に考えることで、より具体的になります。
福祉・介護職として目標とする「職種」「役職」「資格」「給料」などの仕事に関する項目だけではなく、価値観や「結婚」「出産」「引っ越し」「マイホーム購入」などのライフイベントも含めて考えることが大切です。
一言で福祉・介護職と言っても、「雇用形態」「職種」「役職」「資格要件」の違いによって、多様な働き方を選ぶことができます。
理想とする姿や将来の目標を定めることは、キャリアデザインの土台となる要素です。
3.キャリアプランを考える
目標を達成するために、キャリアプラン(必要な具体的行動計画)を考えていきます。
自分の持っている知識・技術(スキル)・経験・資格などに加えて、自分の強み・個性などを仕事へどのように活かせるのかを考えていきます。
ここでのポイントは、あくまで法人・施設・事業所からみた価値、すなわち「エンプロイアビリティ(雇用されるための能力)」の観点から考えることです。
「自分の知識・技術(スキル)・資格・能力が将来も必要とされるか」など、社会状況や需要まで含めて考えることが求められます。
「法人・施設・事業所にとって必要とされる人材になる」という視点が重要であることから、上司や人事担当者、外部アドバイザーなどに相談することもよい方法です。
しかし、法人・施設・事業所から見た価値だけにとらわれず、自分自身の価値観やライフスタイルなどを含めて考える観点を忘れないようにすることが求められます。
4.今やるべきことを決める
考えたキャリアプランのなかから、優先順位を検討し、今やるべきことを決めます。
このとき、すぐに成果が出る短期的なものと長期的に取り組むものを分け、いつまでに目標を達成するのかを決めておきましょう。
「目標を達成するには何をするべきか」「どのような知識・技術(スキル)・資格・能力を身に着けるべきか」などを具体的に検討していきます。
「今すぐできること」を整理して決め、即座に行動することが求められますね。
>>福祉・介護の資格は取っても意味がない?目的やメリットから「資格を取る意味」を解説 ~ 資格の目的別一覧表付き ~
【まとめ】価値観やライフスタイルの変化に合わせた柔軟なキャリアデザインの変更が必要
少子高齢化・グローバル化・コロナ禍による社会・経済状況の変化も重なり、働き方に対する価値観が多様化し、個人が主体的・自律的にキャリアデザインを行うことが求められるようになりました。
人材不足・終身雇用・年功序列の廃止による人材流動の激化により、福祉・介護業界では即戦力としての人材を常に求めています。
人生100年時代において、長期的なキャリアデザインを行う重要性が増す一方で、価値観やライフスタイルの変化に合わせた柔軟なキャリアデザインの変更が必要になってきます。
つまり現代においては、「長期的なキャリアデザイン+変化に合わせた柔軟なデザイン変更」が求められていると言えます。
キャリアデザインを行うことで、「自分の価値観はどのようなものか?」「自分の市場価値はどの程度なのか?」「どのような目標を立てるべきか?」「自分らしい働き方とは?」などを考えるきっかけとなり、「今やるべきこと」がはっきりと見えてきます。
「働くこと」は単なる労働ではなく、「生きること」。
つまり、キャリアデザインを行うことは、「自分らしい生き方」を見つけることだと言えるでしょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。