人生を変えるかもしれない?デスカフェの意義と可能性

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てんぱまる
この記事の著者
業界20年目になる特養の施設長。

看取りとグリーフケアの経験を重ねる。
地域密着型サービス外部評価調査員・実務者研修講師・大学非常勤講師としても活動中。

マルチーズが大好き。

【保有資格】
社会福祉士・介護福祉士・保育士・幼稚園教諭二種免許状・公認心理師・第一種衛生管理者・主任介護支援専門員
てんぱまる
てんぱまる

みなさんどうもこんにちは。

元介護士で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。

みなさんは「死」について、どのような考えをお持ちですか?

おそらく「死」について話すことなんて「縁起でもない」「聞きたくない」として、避けている方が多いのではないでしょうか。

普段の生活のなかで「死」について、思いや考えを語るのは簡単なことではありませんよね。

「デスカフェ」は、それでも「死」について「語りたい」「聞いてみたい」という方のニーズに応える場所として、とても注目され始めています。

この記事では、私が実際に経験した内容を踏まえながら、「デスカフェ」の意義と可能性について、お伝えしていきます。

目次

デスカフェとは?

「デスカフェ」とは、コーヒーにスイーツを添えながら、「死」をテーマに語り合う場所です。

宗教、国籍、年齢、性別などに関係なく、人生の最終段階(終末期)、看取り、近親者の死を経験した人、死について学びたい人などが、普段の生活では話しにくい「死」をタブー視せず受け入れ、繋がることができる特徴があります。

「死」は話すことが難しい話題ですが、すべての人がいずれ当事者となる避けては通れない出来事です。

「死」について「話したい」「知りたい」という気持ちはるけれど、何かの会や団体に所属したり、講義を受けるのはハードルが高い・・・。

そんな人が「死」についてもっと気軽に、カジュアルに語り合う場所が「デスカフェ」なのです。

デスカフェの歴史とガイドライン

「デスカフェ」の始まりは、1999年スイスの社会学者バーナード・クレッタズが妻の死を契機に「死」について語り合う場を開いたことに遡ります。

世界的に広がりを見せる動きにしたのは、イギリスの社会起業家ジョン・アンダーウッドで、2011年にロンドンで「デスカフェ」を開催し、deathcafe.com(デスカフェドットコム)というガイドラインを公開しました。

deathcafe.comのガイドラインでは、下記3つのポイントが示されています。

  1. 自由に自分の考えを表現できるようにすること
  2. 特定の結論を出そうとしないこと
  3. カウンセリングや悩み相談になり過ぎないようにすること

日本国内では、ガイドラインを参考にした「デスカフェ」が2014年前後にかけて増え始めました。

これらのデスカフェがメディアなどで紹介されるようになると、2016年頃からは、ガイドラインを特別意識せず、独自の「デスカフェ」を開催するところが増える流れとなりました。

デスカフェの開催される場所

「デスカフェ」が行われる場所に「ここでなければいけない」という決まりはありません

「死」について話したい人と場所があれば成立し、会議室、喫茶店、福祉施設、教育機関、お寺など、様々な場所で行われています。

テーマや人数によって話しやすい空間が選ばれ、テーマとなる話題は「グリーフケア」「死の探求」など様々です。

また、話の進め方や形式にルールは存在せず、講演やワークショップがある「デスカフェ」もあるなど、その時々の主催者や進行役によって、雰囲気も異なります。

ガイドラインにも示されているように、「デスカフェ」は結論を出したり、誰かに考えを押し付けたり、押し付けられたりする場所ではありません。

自分の思いや他者の思いを共有・傾聴し合うことで、「死」を身近なものとして受けいれていく場所なのです

デスカフェを開催する人、デスカフェに参加できる人

「デスカフェ」を開催する人は「個人」「寺院」「社会福祉法人」「NPO法人」「葬儀社」など様々です。

「個人」でも「看護師」「社会福祉士」「介護福祉士」「僧侶」「心理カウンセラー」「教師」など、バックボーンは多様ですが「死」や終末期ケアに関わる人が多いようです

「デスカフェ」に参加できる人に条件はありません。

誰でも参加でき、特別な経験や資格を必要としないため、すべての人が当事者になれます

参加者の人数は「デスカフェ」によって異なり、数人~30人以上と幅があります。場所や空間の準備が必要であることから、定員制や事前申し込み制にしているところがほとんどのようです。

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デスカフェで語られる内容

「デスカフェ」で語られる「死」で語られる内容は、下記の3つに分けることができます。

  1. 一人称の死わたし(自分自身)の死
  2. 二人称の死…近しい人(家族、友人など)の死
  3. 三人称の死…誰か(見知らぬ人)の死

一人称の死としては、「どう死にたいか」「死に直面した時の自分」「死に対する思い」、二人称の死としては、「身近な人の死」「愛する人の死」「グリーフケア」、三人称の死としては、「ニュースや本などで触れた第三者の死」「臓器移植・脳死」「死を迎える場所の選択」などが 内容としてあげられます。

一人称の死は、探求形式のトーク、二人称の死はグリーフケアやピアカウンセリング形式のトーク、三人称の死はワークショップ型で「デスカフェ」が進行される傾向にあります。

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デスカフェのタイプ

日本で行われる「デスカフェ」は、下記の3タイプに分けることができます。

  1. 対話のみ型(テーマありorなし)
  2. 対話+話題提供型(ゲストトーク、本の紹介、映画鑑賞など)
  3. 対話+ワークショップ型

もともと欧米で始まり、広がってきた「デスカフェ」は、「対話のみ型」のタイプでした。

テーマを決めず、参加者が互いを尊重しながら、対話を重視した「デスカフェ」を行うことが推奨されてきましたが、日本では少数派となっています。

なぜならば、「対話のみ型」のタイプは「話がどのように進んでいくのか」、誰が何を話すのか」が分かりにくく、「デスカフェ」の主催・進行役にとって、難しい一面があるからです。

このことからテーマを設定し、「対話+話題提供型」のタイプで「デスカフェ 」を開催するところも少なくありません。

「老年学や死生学の研究者」、「医療従事者」、「僧侶」などから話題を提供して貰ったあとに対話を始めたり、本の紹介や映画鑑賞と対話を一緒に行うといったかたちで開催されています。

「対話+ワークショップ型」は、カジュアルさや開催のしやすさから、選ばれやすいタイプで「テーマが設定されている」「運営の流れや進行のルールが決められている」「そのルールに従って主催・進行役がカフェを運営している」といった特徴があります。

テーマが設定されていることで主催・進行役は安心して進行することができるメリットがあります。

「対話+ワークショップ型」の「デスカフェ」でよく使われるツールの代表としては、「もしバナカード」があげられます。

「もしバナカード」は、もともと「人生の最終段階(終末期)にどのような治療やケアを受けながら日々を過ごしたいか」を自分のこと(一人称)として考えるきっかけを提供する目的で作成されました。

「死」について語るハードルを下げ、カジュアルに語り合うという「デスカフェ」の目的に適していることから、様々な場所で活用されています。

>>もしバナカードの詳細についてはこちら

デスカフェの意義と可能性

「デスカフェ」では年齢や職業など、バックグラウンドの違う参加者の意見を聞くことができるため、今までとは違った視点で「死」を考えるきっかけが持てます。

また、自身の「死」のイメージや理想、生きた証の残し方、大切な人との別れ方等、「死」について考えることで「死ぬまでに実現させたいこと」を見出す機会となり、より強く「生」を意識できると考えられています

「デスカフェ」は、強制されて参加する場でもなく、誰から誘われたから否応なしに参加する場でもありません。

主体的に参加し、ゆるやかで曖昧な関係性が作れる「デスカフェ」だからこそ、本音で語り、「死」や「生」に対する本質的な価値観を開示できるコミュニティツールとなり得るのです。

多様性のある「デスカフェ」には「死」について語るハードルを下げ、対話、癒し、学び、気付き、教育、コミュニティなど、様々な機能があります

図書館が主催する「デスカフェ」では、「死」や喪失と向き合うために役立つ書籍の展示、読書会、映画上映、芸術作品の展示等が行われ、新しいコミュニティの場所となっています。

「死」や重症患者が身近な存在であるICUの医療従事者が「デスカフェ」へ参加し、その時々の思いや不安を語り合うことで、バーンアウトを予防する手立てになると期待されています。

また、コロナ禍における感染症対策の長期化の影響で、働き手のメンタルヘルスが不安視される現状においては、医療従事者のみならず、「死」に携わる専門職すべてのメンタルヘルスの課題解決に役立つことも期待できるでしょう。

さらに「デスカフェ」は、対面で行う以外にもZoom、clubhouse、Twitterスペースなど、様々なツールを用いてオンラインで行える拡張性があり、コロナ禍においても多様な形で発展すると予想されます

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まとめ

2025年には団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)となり、高齢者人口が急激に増加すると言われています。

「デスカフェ」は、本格的な多死社会を迎えるこれからの時代において、「死」から目を背けない場所として、コミュニティツールになり得ると期待されているのです。

「死のカフェ」 という少し恐ろしいネーミングですが、気軽でカジュアルな場所だと分かっていただけましたね。

みなさんもコーヒーにスイーツを添えながら、「死」について対話してみませんか?

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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