みなさんどうもこんにちは。
元介護士で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。
現代は「心の不調」を抱える人が多いストレス社会です。
新型コロナウィルス感染症が蔓延するなかで、「コロナうつ」という言葉が用いられ、メンタルヘルスの問題もクローズアップされるようになりました。
「身体の不調」を感じた場合、ほとんどの人は病院で医師の診療を受けます。
しかし、「心の不調」を感じた場合は、誰に相談すればよいのでしょうか?
もちろん精神科医や心療内科医の診療を受けても良いですが、ただ不調というだけで受診するのは敷居が高く「薬には頼りたくない」、「周囲の目が気になる」という人も多いはず。
このような時代の変化に合わせ、最近では「カウンセラー」という言葉(職業)を耳にすることが増えました。
ただ、実際に「カウンセラー」へ相談した経験のある人は少なく、相談したいと感じても「どのカウンセラーを頼ったら良いの?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな悩みを抱えている人に向けて、「優れたカウンセラーの選び方」を紹介していきます。
心理系資格の種類と特徴
心理系資格の種類は、大きく分けると下記の3種類に分類できます。
- 臨床心理士…民間資格(民間団体や企業が、独自の審査基準を設けて任意で認定する資格)
- 公認心理師…国家資格(国の法律に基づいて、各種分野における個人の能力、知識が判定され、特定の職業に従事すると証明される資格)
- その他〇〇カウンセラー、〇〇心理士と名のつくもの…民間資格(民間団体や企業が、独自の審査基準を設けて任意で認定する資格)
- 認定カウンセラー
- メンタルカウンセラー
- 産業カウンセラー
- 認定心理士
- 学校心理士 など
>>国家資格・公的資格・民間資格の違いってなに?それぞれの定義や分類の要点をわかりやすく徹底解説
「カウンセラー」を名乗る人の経歴やスキルは千差万別ですが、良いカウンセラーを選ぶ判断基準の一つが、「カウンセラー」の有している資格の種類です。
心理系資格の種類は非常に多く存在しますが、国家資格である「公認心理師」と公共性の高い民間資格である「臨床心理士」以外の資格は、すべて民間資格なのです。
大学や大学院の修了が必要な資格、カウンセラー養成学校で取得できる資格、通信講座で取得できる資格など、取得方法や難易度は様々です。
では、詳しくご紹介していきます。
臨床心理士
まずは「臨床心理士」の資格について紹介します。
「臨床心理士」は公益社団法人日本臨床心理士資格認定協会という団体が認定する民間資格です。
国家資格である「公認心理師」が誕生する以前より存在し、心理系資格で最も権威のある資格として30年以上の歴史があり、これまで3万人を超える「臨床心理士」を輩出しています。
「臨床心理士」になるためには、大学での4年間のほかに、少なくとも大学院で2年間は専門課程を履修し、学位(修士号)を取得する必要があります。
また、学位(修士号)を取得して受験資格が得られたとしても、厳しい試験に合格しなければ「臨床心理士」を名乗ることはできません。
よって、「臨床心理士」の知名度・取得難易度はともに高く、高度な養成課程に基づいた資格であることから、教育機関、医療機関、行政機関、司法機関など様々な分野の心理職に就くための要件になっています。
公認心理師
次に「公認心理師」の資格について紹介します。
心理系資格では唯一の国家資格ですが、「臨床心理士」に比べると歴史が浅く、誕生してまだ3年しか経過していません。
長きにわたって心理専門職の国家資格化が切望され、2017年にようやく国家資格として「公認心理師」が誕生したのです。
誕生するまでに紆余曲折があり、心理系資格でもっとも権威のある「臨床心理士」がそのまま「公認心理師」になったわけではなく、共存していくことになりました。
「公認心理師」も「臨床心理士」と同様に大学や大学院で、省令で定められたカリキュラムを履修することで受験資格が得られ、国家試験に合格することで、「公認心理師」を名乗ることができます。
※現在は「特例措置」として、実務経験5年+現任者講習受講により受験資格が得られますが、2022年度に行われる第5回公認心理師試験で「特例措置」は終了となります。
今後「公認心理師」は「臨床心理士」と同様に、教育機関、医療機関、行政機関、司法機関など様々な分野の心理職に就くためには、必須の資格となるでしょう。
その他の民間資格
国家資格である「公認心理師」が誕生するまでの間、「〇〇カウンセラー」、「〇〇心理士」のような民間資格が乱立し、「自称カウンセラー」を名乗る人が増えました。
冒頭で述べた通り、それだけ世の中に「心の不調」で悩む人が増え、メンタルヘルスに対する関心が高まったということが言えます。
だからと言って、たった数時間の養成講座を受けただけで「カウンセラー」を名乗ったり、ホームページなどで華々しく宣伝する人を見かけるようになったことには、とても驚かされます。
もちろん、民間資格を有する人のなかにも優れたスキルを持った人もいるでしょうし、真摯にクライエントと向き合い、問題を解決してくれる人もいるかもしれません。
しかし、「臨床心理士」や「公認心理師」の歴史や養成過程と比べると、「優れたカウンセラー」と呼べる人に出会う確率は圧倒的に少ないということは言うまでもありません。
なぜ自称カウンセラーが存在するのか?
なぜ「自称カウンセラー」が多数存在しているのでしょうか?
「心の不調」を抱える人が多いストレス社会であるにも関わらず、長きに渡り心理系資格に国家資格が存在しなかったことで、需要と供給のバランスが悪かったことが原因の1つであると考えられます。
また、国家資格として誕生した「公認心理師」が「名称独占」であって、「業務独占」ではないことも原因の1つでしょう。
これは医師や弁護士などとは大きく異なる点です。
つまり、乱暴な言い方をするのであれば、カウンセリングやセラピーは「誰が行ってもよい」ということになります。
自分で「○○カウンセラー」と名乗り、カウンセリングやセラピーを行っても違法にはならないのです。
民間資格を有するだけでは、心理の専門職として体系的な知識やスキルを身に着けている可能性は低くなりますが、先に述べたとおり、民間資格を有する人であっても、すべての人が「ニセモノ」「インチキ」とは限りません。
「何らかの事情で国家資格は取らなかった、または取れなかった」という人のなかにも「優れたカウンセラー」はたくさんいるはずです。
しかし、クライエントが「カウンセラー」の専門性や質を判別することはとても難しいことであると同時に、法外な料金を取る「自称カウンセラー」を頼ってしまい、症状が悪化したなどということがあるのは、とても悲しいことです。
公認心理師なら大丈夫なのか?
「優れたカウンセラー」とは、どのような「カウンセラー」なのでしょうか?
「臨床心理士」や「公認心理師」であれば、すべて大丈夫と言いたいところですが、実際はそうではありません。
私自身も「公認心理師」の資格を有してはいるものの、「介護福祉士」「社会福祉士」として介護・福祉の分野に長く携わるなかで心理学に興味を持ち、「特例措置」による受験資格を得た経歴です。
ですから、「優れたカウンセラー」と呼ばれるような知識やスキルを持ち合わせていると、自信を持てないのが正直な気持ちです。
もっともこれは「カウンセラー」に限らず、医師であっても同じことが言えます。
医師免許を有していても「ヤブ医者」と呼ばれるような医師もいるでしょう。
ただ、医療の分野では「エビデンス(科学的根拠)」に基づく治療が大切なことは当たり前で、インターネットやSNS等でも簡単に情報を得ることができる時代になりました。
また、セカンドオピニオンを求め、優れた医師かどうかを見極める人も増えているように感じます。
遅れながら、心理の分野でも「エビデンス(科学的根拠)」に基づくカウンセリングやセラピーの重要性が示されるようになりましたが、それでも何も知らないクライエントが「最適な心のケア」を1人で見つけ出すことは困難で、まだまだ情報不足であることは否めません。
今後は「臨床心理士」や「公認心理師」などの心理の専門職が「エビデンス(科学的根拠)」に基づくカウンセリングやセラピーの重要性について、正しい情報発信を続けていくことが求められるでしょう。
心の不調を抱えた人が悩まず相談できる社会へ
心理職に国家資格が誕生したことは、クライエントに対するカウンセリングやセラピーの質が担保されるきっかけとなり、「心に不調」を抱えた人が悩まず相談できる社会を創りあげる一助となります。
心理職に国家資格がないことで、国や公共団体の事業に参加しにくいという事情もありましたが、今後は徐々に改善され、心理業界全体の成長スピードが飛躍することも期待できるでしょう。
そして「公認心理師」であることが心理の専門職としての標準的なステータスになると思われます。
このように、心理職に国家資格が誕生したことによるメリットは、クライエントのみならず、心理業界全体にも大きく影響していくと考えられます。
「公認心理師」の資格が誕生後、一部の「臨床心理士」からは「臨床家としての専門性が危惧される」などといった意見があるようですが、必ずしもそうなるとは限りません。
もちろん「公認心理師」がパーフェクトな資格だと言うつもりはありませんが、カウンセリングやセラピーを受けるクライエントにとって「優れたカウンセラー」と出会う判断基準にはなり得るはずです。
私自身も「公認心理師」の名に恥じぬよう、「優れたカウンセラー」であると胸を張って言えるよう、学び続けていかなければいけないと考えています。
今後も「心の不調」を抱えた人が悩まず相談できる社会になって欲しいと思います。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。