みなさんどうもこんにちは。
元介護職で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。
- 介護職に就きたいけど、どこを選んだら良いか分からない
- 施設・事業所の種類と特徴の違いが分からない
- 自分に合った職場が知りたい
- 今働いている場所が合わない
- 転職で失敗したくない
このような悩みを抱えている方は、多いのではないでしょうか。
この記事では、働き方別に介護職が働ける職場の種類と特徴を紹介していきます。
さらには、簡単で分かりやすいフローチャートも掲載しています。
ぜひ参考にしてください。
職場の種類と特徴を理解し、キャリアデザインを設計しよう
職場選びに失敗しないためには、職場の種類と特徴を理解しておくことはとても重要です。
いざ入職してみると「自分が想像していた業務内容ではなかった」「待遇面が違っていて後悔した」という話は、よく聞きます。
- 変則勤務が予想以上に大変だった
- 給料が想像以上に少なかった
- もっと利用者に寄り添った介護がしたい
- コミュニケーションスキルを活かしたい
- 身体介護の経験・スキルが身につく職場で働きたい
このように働く施設・事業所によって、勤務体系や待遇面だけではなく、専門職として習得できる経験・スキルは異なります。
職場選びに失敗しないためには、職場の種類と特徴を理解し、「自分はどんな働き方がしたいのか」「自分にはどんな働き方が合っているのか」等、理想のキャリアを主体的・自律的に考え、「キャリアデザイン」を設計することが必要になります。
>>キャリアデザインってなに?福祉・介護職にキャリアデザインが必要な理由4選と手順
介護職が働ける職場の種類と特徴
では、働き方別に職場の種類と特徴について、ひとつずつご説明していきます。
【働き方①】生活リズムを守って働きたい方
生活リズムを守って働きたい方には、デイサービス(通所介護)・デイケア(通所リハビリテーション)がおすすめです。
デイサービス(通所介護)とは?
食事・排泄・入浴などの介護を通して、利用者が自宅で自立した生活が送れるように日常生活を支援するサービスです。
レクリエーションで利用者に楽しみを提供する他に、リハビリ(機能訓練)・認知症予防などに力を入れている事業所も増えています。
「対人交流(会話やレクリエーション)を楽しみたい」と利用する方が多いため、その場を盛り上げたり、コミュニケーションを得意とする方にはおすすめの職場です。
デイケア(通所リハビリテーション)とは?
デイサービス同様、食事・排泄・入浴・レクリエーションに加えて、リハビリ(機能訓練)に特化したサービスを提供しています。
そのため「身体機能や栄養状態の維持・回復」といった、明確な目的・目標を持っている利用者が多いことが特徴です。
デイサービスよりも医療職・リハ職が多く配置されているため、介護の知識に加えて、医療・リハビリの知識も得ることができます。
通所系の職場は、早番・遅番・夜勤といった変則勤務がなく、いつも決まった時間帯で働くことができます。
変則勤務がないことは、「家事・育児との両立」という観点からもメリットは大きく、実際に「子育て世帯のパパママ」も多く働いています。
変則勤務がないことに加え、軽度者(要支援1~要介護2)の介護が中心であるため、体力的な負担は少ないのが特徴です。
レクリエーションの企画力・進行力が身につくのはもちろん、利用者との関わりや家族との情報交換において、コミュニケーション力の向上に繋がります。
通所系の職場には夜勤手当がつかないため、収入は少なくなります。
デイサービスは利用者の送迎(自宅~事業所間)もサービスの一環です。
福祉車両などの大きな車の運転を求められることも多いため、車の運転ができない・苦手という方は、負担・ストレスになるでしょう。
重度の利用者が少ないため身体介護の経験が積めず、スキルアップは大きく望めません。
【働き方②】身体介護の経験を積みながら、給料が良い職場で働きたい方
身体介護の経験・スキルを積みながら、給料が良い施設で働きたい方には、特別養護老人ホームや介護老人保健施設がおすすめです。
特別養護老人ホーム(特養)とは?
特別養護老人ホームは、重度者(要介護3~5)の方が入所している職場です。
入所しているほとんどの方が車椅子で常時介護が必要な重度者のため、一度入所すると自宅に戻ったり他の施設へ移らず、そのまま最期まで住み続けます。
「終の住処(すみか)」とも呼ばれていますね。
施設を選ぶ際、「何度も施設を変えたくない」「最期まで安心して過ごしたい」という理由で「特養」を希望する方が多くいます。
介護職として身体介護の経験を多く積み、スキルアップしたい方におすすめの職場です。
同じ経験年数の介護職でも、通所系と施設系では、身体介護のスキルに大きな差が出ます。
>>知らないと損する!老人ホームの特徴と選び方 ~特別養護老人ホーム~
介護老人保健施設(老健)とは?
入所要件は「要介護1~5」と幅広い方が入所している職場です。
入所期間は原則として3カ月~6カ月と短く限定的で、医師の常勤や看護師・リハビリ専門職の配置基準が厳格に定められています。
病院から退院して間もない方の療養・リハビリを行う「中間施設」という位置付けです。
特養に比べて医療職・リハ職が多く配置されています。
>>知らないと損する!老人ホームの特徴と選び方 ~介護老人保健施設~
施設系の職場と言えば、夜勤手当が魅力のひとつです。
夜勤手当は、地域や施設ごとによって違うため、面接の際に確認しておくようにしましょう。
変則勤務である代わりに、平日の休みも多くあるため、「休日は混雑を避けて時間を効率的に活用したい」といった方にはおすすめです。
重度者や医療ニーズの高い入所者が入所しているため、急変時の対応に関する知識が深まり、人生の最終段階に立ち会う(看取り)経験が積めます。
しかし、変則勤務かつ重度者の介護が中心であることから、体力的な負担が大きいのが特徴です。
多職種との連携や看取りケアに立ち会うことで、精神的な負担やストレスを抱えてしまう可能性があります。
【働き方③】利用者に寄り添う職場で働きたい方
利用者に寄り添う施設で働きたい方は、施設系のなかでもユニット型特養とグループホームがおすすめです。
ユニット型特養とは?
10名程度を1つのユニットとし、少人数で家庭的な雰囲気の中でサービスを提供する職場です。
従来型特養の様に多床室(4人部屋や2人部屋)ではなく、入居者の居室は個室を基本とし、ユニット毎に職員を配置しています。
ユニット型とはいえ特養であるため、重度者(要介護3~5)の方が入居しています。
入居者と深く関わり、個別ケアを提供したい方におすすめです。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは?
グループホームは「要支援2~要介護5」の方で、「医師により認知症と診断を受けた方」が入居しており、認知症ケアに特化した職場であると言えます。
1つのユニットは5〜9人で、1つのグループホームの上限は原則2ユニットです。
つまりグループホームは最大で18名といった、少人数の職場と言えます。
>>知らないと損する!老人ホームの特徴と選び方 ~認知症対応型共同生活介護(グループホーム)~
施設系のなかでも、ユニット型特養・グループホームと言えば、個別ケア(1人の利用者とじっくりと向き合うこと)ができる職場であることが、大きな魅力です。
特にグループホームは、認知症ケアに特化した施設で、散歩・買い物・料理などを利用者と一緒に行うことがケアの一環として求められます。
実践で経験を積めることに加えて、認知症ケア専門士・認知症介護基礎研修・認知症介護実践者研修など、認知症ケアに特化した資格取得や研修取得に積極的な施設がたくさんあります。
つまりグループホームは、認知症ケアに関する経験・スキルを身に着けるには、もってこいの職場と言えます。
ユニット型特養は、ユニット毎に職員が配置されるため、従来型特養に比べると1人でケアする時間帯が多くなり、先輩・ベテランスタッフと一緒にケアする時間は限られます。
日々の実践のなかで、直接的な技術指導やアドバイスを貰えるシチュエーションは少なく、緊急時の対応など、不安に感じる場面が多くなります。
つまり、介護職未経験の方には、精神的な負担は大きいと言えますね……
施設系の職場であるため、夜勤手当がつくのは大きな魅力です。
しかし、ユニット単位でシフトが作成されるため、従来型特養・老健に比べると、希望休が取りづらいといったデメリットがあります。
さらに言えば、ユニット単位で限られた人間関係であることから、「気が合わない同僚」「相性の悪い上司」がいても逃れる場所がなく、ストレスがかかります。
【働き方④】家事の経験を活かしながら、希望する時間帯や曜日で自由に働きたい方
家事の経験を活かしながら、自由な時間で働きたい方には、訪問介護事業所(ヘルパーステーション)がおすすめです。
訪問介護事業所(ヘルパーステーション)とは?
自宅で生活している利用者にヘルパー(訪問介護員)としてサービスを提供する職場です。
ヘルパーの仕事は大きく「身体介護」と「生活援助」の2つに分かれます。
「身体介護」は食事・排泄・排泄・通院介助など、直接利用者の身体的援助を行う仕事です。
一方「生活援助」は、自宅に訪問して料理・洗濯・掃除・買い物代行といった家事全般を行う仕事です。
「生活援助」は原則、自宅で独り暮らしをしている方や有料老人ホームに入居している方への援助となります。
訪問介護事業所のヘルパーとして働くためには資格要件があり、初任者研修(旧ホームヘルパー2級)の修了が必要とされています。
なぜならば、ヘルパーは原則的に1対1でサービスを提供する仕事だからです。
一人で自宅に訪問してサービスを提供する訳ですから、最低限の介護知識とスキルに加えて、アクシデントが起きた際の対応力も必要になります。
ヘルパーとして働きたい方は、「初任者研修」や「実務者研修」を受講しておきましょう。
>>【公式】初任者研修の資格をとるなら「BrushUP学び」で
自分の希望する時間帯や曜日で自由に働けるのは、ヘルパーの大きなメリットです。
生活援助では家事の経験を活かせるため、主婦業や他の仕事と掛け持ちしながら働いている方も多くいます(家事が苦手な方は、身体介護メインで仕事ができるよう職場に相談すると良いでしょう)
出退勤の必要がなく、予定された時間に直接利用者の自宅へ伺い、決められた時間まで働いたらそのまま帰宅できるのも良い点です。
自由な時間・曜日で働くことができる代わりに、正社員としての雇用は少なく非常勤(パート)で働く方が多くなります。
希望する時間・曜日にサービス提供がなかったり、サービスがキャンセルされるケースもあり、収入は不安定になりがちです。
職場の選び方を簡単フローチャートで解説!
これまでの解説を踏まえた「職場の選び方が簡単にわかるフローチャート」が下記の図1です。
全ての職場を網羅しているわけではありませんが、簡易的なチャートとして、ご自身の考えを整理するためには十分なものとなっています。
是非ご活用ください。
まとめ
このように介護職は、働く施設・事業所により勤務体系・待遇面のみならず、専門職として習得できる経験・スキルまで異なります。
「なんとかなるだろう」「どこも一緒だろう」「なんとなく、ここでいいか」という気持ちで職場を選ぶと、必ず失敗します。
職場選びに失敗しないためには、職場の種類と特徴を理解し、「自分はどんな働き方がしたいのか」「自分にはどんな働き方が合っているのか」等、理想のキャリアを主体的・自律的に考え、「キャリアデザイン」を設計することが必要になります。
福祉・介護業界は人材不足であることから、他業種からのキャリアチェンジでも、自分の望む働き方ができるようになる可能性は、とても高いと言えます。
この記事が、みなさんの職場選びの一助となれば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。