知らないと損する!老人ホームの特徴と選び方 ~介護老人保健施設~

てんぱまる
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業界20年目になる特養の施設長。
地域密着型サービス外部評価調査員・実務者研修講師としても活動中。
保有資格はすべて一発合格。

【保有資格】
社会福祉士/介護福祉士/保育士/幼稚園教諭二種免許状/公認心理師/第一種衛生管理者/主任介護支援専門員

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みなさんどうもこんにちは。

元介護士で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。

みなさんの家族や大切な方に介護が必要となった場合、施設に入所することが選択肢の1つとなります。

しかし施設を選ぶにしても、様々な種類の施設があり「どの施設がよいのか分からない」と悩んでしまう方は多いはず。

また、実際に介護職として働いている方の中にも、「自分の働いている施設はどのような特徴なのか」「他の施設と比べてどう違うのか」について、知らない方は多くいます。

「特別養護老人ホーム」に続く第2弾として、手厚い医療的ケアと専門職による集中したリハビリが受けられる「介護老人保険施設」の特徴をお伝えします。

こちらも、現役でしか知り得ない実情を丁寧にまとめています。

最期までご覧ください。

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目次

介護老人保健施設の概要

まず、「介護老人保健施設」の設置主体は、医療法人・社会福祉法人がほとんどであるため「特別養護老人ホーム」と同様に、公的な施設だと言えます。

公的な施設であるが故に、人員配置や設備などの指定基準は厳格に定められています。

入所一時金は不要で、生活保護世帯と住民税非課税世帯に対して減免制度があり、入所要件も「要介護1~5」と幅広いことから、入所するための敷居は比較的低い施設です。

しかし、入所期間は原則として3カ月~6カ月と短く限定的で、医師の常勤や看護師・リハビリ専門職の配置基準が厳格に定められていることから、病院から退院して間もない方の療養・リハビリを行う「中間施設」という位置付けです。

このように、早期の在宅復帰を目指すことが施設の存在意義であることから、入所すると最期まで過ごせる「特別養護老人ホーム」や「有料老人ホーム」とは全く異なる特徴だと言えます。

また、「特別養護老人ホーム」が「特養」という略称で呼ばれるのに対し、「介護老人保険施設」は「老健」という略称で呼ばれています。

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介護医療院・病院・診療所の違い

続いて「老健」の特徴を理解するうえで、事前に知っておきたい施設や医療機関の違いについてご説明します。

これらの場所は「老健」と同様に医師が常勤です。

  • 介護医療院…長期的な医療と介護のニーズを併せ持つ要介護者を対象とし、「日常的な医学的管理や看取り・ターミナルケアなどの医療機能」と「生活施設としての機能」を兼ね備えた施設
  • 病院…入院できるベッドが20床以上ある医療機関
  • 診療所(クリニック)…入院できるベッドが19床以下の医療機関

老健の種類

このように、医師が常勤である場所にも違いがあることが分かりましたね。

それでは、いよいよ「老健」の種類についてお伝えしていきます。

「老健」は大きく分けて、下記の2種類に分かれています。

  1. 従来型
  2. 小規模型

1.従来型

「従来型」は、定員が30名以上の施設で、一般的な「老健」と呼ばれる施設は、「従来型」のことを指しています。

通所リハビリテーション(デイケア)などが併設されている施設も多くあります。

2.小規模型

「小規模型」は、定員が29名以下の施設で、さらに下記の2種類に細分化されています。

  1. サテライト型
  2. 医療機関併設型

1.サテライト型

「サテライト型」は、定員30名以上の本体施設とは別の場所で運営されている施設を指します。

原則的には、公共交通機関などで20分以内の場所に配置されている必要があり、同法人が運営しなければなりません。

本体施設は「老健」以外に「介護医療院」「病院」「診療所」の場合もあり、通常の人員配置基準や設備基準よりも緩和されているのが特徴です。

2.医療機関併設型

「介護医療院」「病院」「診療所」などに併設している施設(老健)を指します。

本体施設のない定員29名以下の施設であることは、変わりません。

老健の区分とその要件

国は「老健」を5区分に分けて評価しています。

老健の区分

超強化型
②在宅復帰型
加算型
基本型
その他

その背景には、「老健」に入所しても「在宅復帰を目指す本来の役割を果たせない」といった「老健の特養化」が問題視された経緯があります。

区分の決定要件は下記の5評価項目となっています

老健の区分を決定するための評価項目

a.在宅復帰・在宅療養支援等指標
b.退所時指導等
c.リハビリテーションマネジメント
d.地域貢献活動
e.充実したリハビリ

下記の表を見て分かるように、「超強化型」として「区分」されるには、とても高いハードルがあります。

このことから「超強化型」の施設は、国の求める「老健」として最も評価される施設だと言えます。

評価項目超強化型在宅復帰型加算型基本型その他
a.在宅復帰・在宅療養支援等指標70以上60以上40以上20以上要件満たさない
b.退所時指導等要件あり要件あり要件あり要件あり要件満たさない
c.リハビリテーションマネジメント要件あり要件あり要件あり要件あり要件満たさない
d.地域貢献活動要件あり要件あり要件なり要件なし要件満たさない
e.充実したリハビリ要件あり要件あり要件なし要件なし要件満たさない
図1 老健の区分と決定要件

a.在宅復帰・在宅療養支援等指標
在宅復帰・在宅療養支援等指標の要件 は、下記の10指標に分かれて採点され、合計値によって定められています。

  1. 在宅復帰率
  2. ベッド回転率
  3. 入所前後訪問指導割合
  4. 退所前後訪問指導割合
  5. 居宅サービスの実施数
  6. リハ専門職の配置割合
  7. 支援相談員の配置割合
  8. 要介護4又は5の割合
  9. 喀痰吸引の実施割合
  10. 経管栄養の実施割合

項目の採点基準や配分はこちら(222ページ)をご覧ください。

b.退所時指導等
退所時指導等の要件 は、「退所時指導」と「退所後の状況確認」の2つに分かれ、定められています。

  1. 退所時指導…「老健」の入所者の退所時に、当該入所者およびその家族などに対して、退所後の療養上の指導を行っていること
  2. 退所後の状況確認…「老健」の入所者の退所後30日(要介護4・5の方は2週間)以内に居宅を訪問、又は指定居宅介護支援事業者から情報提供を受けて、在宅での生活が1ヶ月(要介護4・5の方は2週間)以上継続する見込みであることを確認し、記録していること

c.リハビリテーションマネジメント
入所者の日常生活の自立を助けるために心身の諸機能の維持回復を図って、理学療法、作業療法やその他必要なリハビリテーションを計画的に行い、適宜その評価を行っていること

d.地域貢献活動
地域に貢献する活動を行っていること

e.充実したリハビリ
少なくとも週3回程度以上のリハビリテーションを実施していること

老健の費用・料金と内訳

ここからは、気になる費用・料金形態についてお伝えします。

「老健」の費用・料金形態は、入所する方の要介護度、居室のタイプ、世帯所得によって異なるのが特徴です。

「老健」の費用・料金の内訳は下記の5項目で、「有料老人ホーム」で求められるような入居一時金は必要はありません。

  1. 施設介護サービス費(医療費も含む)
  2. 介護サービス加算
  3. 居住費
  4. 食費
  5. 日常生活費

1.施設介護サービス費

入所すると負担する基本的なサービス費用・料金です。

介護保険が適用され、入所する方の世帯所得によって1割~3割と自己負担が変わります。

もちろん、世帯所得が多い方の負担割合は高くなります。

また、要介護度によっても違いがあり、「要介護5」と認定を受けた方が1番大きな負担額となります。

日額のため、月の途中で入居・退居しても、施設でケアを受けた日数のみ請求されます。

「特養」と違う点は、基本的なサービス費用・料金に「医療費」が含まれているところです。

原則として「医療保険」は適用にならず、入所中の療養に使用する薬剤や内服薬などは「介護保険」において、すべて施設が負担します

また、入所中の「他科受診」と言われる他の病院受診にかかった「医療費」ついても同様で、みなさんの自己負担はありませんが、「特養」に比べると基本的なサービス費用・料金が高く設定されています。

2.介護サービス加算

こちらも「施設介護サービス費」と同様に介護保険が適用され、1割~3割の自己負担となります。

より良いケアを提供するための設備、人員配置、サービスなどに応じて追加される仕組みになっています。

日額、月額と加算の種類に応じて変動するため、確認するのが良いでしょう。

3.居住費

「居住費」とは、賃貸で言うところの「家賃」のようなものです。

「多床室(相部屋)」「従来型個室」「ユニット型準個室」「ユニット型個室」の順番に費用が増えます。

プライベートな空間が確保され、個別ケアに適した環境の「ユニット型個室」が、1番大きな負担額となります。

※生活保護世帯もしくは住民税非課税世帯に対して、減免制度があります。

4.食費

原則、1日3食分すべての料金が請求されます。

そのため、外泊によって夕食を食べなかった場合でも料金は変わりません。

しかし、入院や複数日の外泊など、あらかじめ一定期間施設で食事を摂らないことが決まっている場合、自己負担はありません。

※こちらも「居住費」と同様に、生活保護世帯もしくは住民税非課税世帯に対して、減免制度があります。

5.日常生活費

理美容代、娯楽費、日用品、嗜好品などにかかったものは介護保険の対象外で、自己負担となります。

ただし、おむつ代や日常的な洗濯代については、施設側の負担で自己負担はありません。

また、介護用ベッドや標準型の車椅子においては施設の備品として設置され、自己負担を求められることはありません。例外として、特殊な車椅子が必要な場合は、別途で購入・レンタル代の自己負担を求められることがあります。

※繰り返しになりますが、医療費は「施設介護サービス費」に含まれているため、別途自己負担はありません。

老健の費用・料金の減免制度

「老健」は公的な施設で介護保険が適用されるため、自己負担が低額に抑えられ、さらに3つの減免制度が設けられています。

  1. 介護保険負担限度額認定制度
  2. 高額介護サービス費
  3. 高額医療・高額介護合算療養費制度
    ※「特養」と違い「老健」は、社会福祉法人が運営する施設であっても「社会福祉法人等による利用者負担軽減制度」は対象となりません。

1.介護保険負担限度額認定

「介護保険負担限度額認定」は、居住費と食費の負担限度額の上限を超えた分について、減額する制度です。

生活保護世帯もしくは住民税非課税世帯であることに加えて、預貯金等の資産合計額が、定められた金額以下の方が対象です。

第1段階から第4段階の区分があり、区分によって居住費と食費の負担限度額の上限が変わります。

>>介護保険負担限度額認定の詳細はこちら

2.高額介護サービス費

「高額介護サービス費」は、介護保険を利用した「介護サービス費」の自己負担額が月額の限度額を超えた場合に、払い戻される制度です。

こちらも世帯の収入に応じて、区分ごとに負担額の上限が決められています。

なお「高額介護サービス費」の対象は、介護保険適用のサービスにかかる費用のみです。

「食費」「居住費」「日常生活費」などは対象となりませんので、気を付けてください。

>>高額介護サービス費の詳細はこちら

3.高額医療・高額介護合算療養費制度

「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、医療保険と介護保険両方の自己負担合計額が年間の限度額を超えた場合に、払い戻される制度です。

所得や年齢に応じて、区分ごとに負担額の上限が決められ、世帯単位となります。

こちらも「居住費」「食費」「日常生活費」は払い戻しに含まれません。

>>高額医療・高額介護合算療養費制度の詳細はこちら

老健の人員配置基準

「老健」の人員配置基準は、以下の通り厳格に定められています。

職種によって非常勤や兼務が認められますが、必ず配置されていなければならない9職種です。

「特養」とは違い、「医師」が常勤であることが特徴で、リハビリスタッフに求められる基礎資格は「理学療法士、作業療法士、言語聴覚士」に限定されています。

  1. 管理者(施設長)…1(常勤であれば同一敷地内他職種と兼務でも可)
    ※「老健」では医師が兼務することがほとんどです。
  2. 医師…入所者の数を100で除して得た数以上(常勤かつ専従)
  3. 薬剤師…実情に応じた適当数。入所者の数を300で除した数以上が標準(非常勤でも可)
  4. 支援相談員…入所者の数が100またはその端数を増すごとに1以上(常勤かつ専従)
    ※有する資格…社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格など
  5. 介護職員(看護職員との総数)…入居者の数が3またはその端数を増すごとに1以上。介護・看護職員総数のうち7分の5程度が標準。※有する資格…介護福祉士、実務者研修修了、初任者研修修了等
  6. 看護職員(介護職員との総数)…入居者の数が3またはその端数を増すごとに1以上。介護・看護職員の総数のうち7分の2程度が標準。
    ※有する資格…看護師、准看護師
  7. 理学療法士、作業療法士または言語聴覚士…入所者の数を100で除して得た数以上(非常勤または兼務でも可)
    ※有する資格…理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
  8. 栄養士または管理栄養士…入所定員100以上の施設で1以上(非常勤または他の隣接している社会福祉施設や病院等との兼務でも可)
    ※有する資格…栄養士、管理栄養士
  9. 介護支援専門員(ケアマネジャー)…入居者の数が100またはその端数を増すごとに1を標準とする(常勤であれば兼務でも可)

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老健の基本サービスと選ぶポイント

「老健」においても「特養」と同様に、介護支援専門員が作成する「施設サービス計画」に沿ったかたちで、入浴、排せつ(おむつ、トイレ、褥瘡予防)、食事(栄養管理)、整容(口腔衛生等)、相談及び援助、機能訓練などのサービスが提供されます。

しかし、医師の診療方針に基づいた「看護や医学的管理の下における介護」といった位置付けであることから、「特養」のような「生活の場」におけるサービスとは方針が異なります。

公的な施設であるため、法令においてスタッフへ研修(高齢者虐待・身体拘束・感染症など)を受講させるための必要な措置が義務化され、ケアの質が担保される体制になっていることに変わりはありません。

このように「老健」の基本となるサービスは「中間施設」という位置付けで、運営基準に沿って整備されていますが、施設の種類・区分・人員配置などによりサービスの内容や質に違いが出ます。

ここからは、「特養」との違いも交えながら「施設を選ぶ時に確認するポイント」について、詳しくご紹介していきます。

ポイントは下記の6つです。

  • 在宅復帰・対処支援の積極性
  • 設備・環境(ハード面)
  • 食事
  • 機能訓練(リハビリ)
  • 健康管理
  • スタッフ(支援相談員)の印象

1.在宅復帰・退所支援の積極性

まず一番最初に確認するポイントは、「在宅復帰・退所支援の積極性」です。

「区分」が「超強化型」や「在宅復帰型」の施設は、積極的に在宅復帰・退所支援を行う施設であると言えます。

入所相談の際に具体的な入所期間を示されたり、次の行き先(家に戻るのか、有料用心ホームに移るのか、特養に移るのか)を明確にしておかなければ受け入れてもらえない施設も珍しくありません。

一方で「区分」が「基本型」や「その他」である施設においては、在宅復帰・退院支援というよりは長期療養という位置づけとなります。

どちらかと言えば「特養」や「介護医療院」に近い姿勢で、積極的に退所を求められることはありません。

入所してから「こんなはずではなかった」とならぬよう、事前にしっかりと確認して選択する必要があります。

2.設備・環境(ハード面)

次に確認するポイントは「施設の設備や環境(ハード面)」です。

特に重要なのは、入所者のプライベートスペースとなる「居室のタイプ」ではないでしょうか。

「老健」は「生活の場」という位置付けではありませんが、居室は入所者が最も長い時間を過ごす場所であることに変わりはありません。

また、「多床室(相部屋)」、「個室」どちらを選ぶかは、負担しなければならない費用・料金にも大きく影響があります。

「寂しいのは嫌いだし、できるだけ費用をかけたくない」、「プライベートスペースを大切にしたい」など、自身の希望に合った「居室のタイプ」を選びたいですね。

さらには「居室のタイプ」に限らず、施設全体の雰囲気も大切にしたいポイントです。

コロナ禍以前は、実際に施設内を見学してから申し込むことができました。

しかし、現在は感染症拡大防止の観点から、施設の中まで自由に見学することができないところが増えています。

ホームページやパンフレットの印象だけで入所を申し込み、決めてしまう方もいますが、可能な限り直接施設へ出向き、外観や玄関先だけでも確認することをお勧めします。

3.食事

続いての確認ポイントは「食事」に関することです。

「特養」と同様に「老健」でも、栄養士または管理栄養士が高齢者に合わせた献立を作成し、個々の状態に合わせた食事を提供しています。

病気に合わせた療養食(糖尿病食・心臓病食等)の提供に加えて、嚥下機能(飲み込む力)が弱った方でも食事が摂れるよう、嚥下調整食(介護食)が提供されます。

「刻み食」「ソフト食」「ゼリー食」「ムース食」「ミキサー食」など、施設によって提供できる嚥下調整食(介護食)の呼び名や種類が異なるため、確認すると良いでしょう。

「老健」は医師が常駐しているという特徴から、診療方針に基づいた食事療法を徹底している施設が多い印象です。

調理自体を外部委託(外注した調理済みの食材を温めるだけ)する施設もあれば、すべて手作りで調理する施設など、調理の体制・工程は様々で味や見た目には違いがあります。

「季節や行事に合わせた食事が提供されているか」など、申し込みの際に「食事」に関することを確認すると良いでしょう。

4.機能訓練(リハビリ)

「老健」では在宅復帰を支援する「中間施設」として、リハビリ専門職(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)によるリハビリを受けることができます

しかし、施設の「リハ専門職の配置割合」や「配置されている専門職の資格」などによって、頻度や質に違いがあります。

「区分」が「超強化型」や「在宅復帰型」の施設では「リハ専門職の配置割合」が高く、「少なくとも週3回程度以上のリハビリテーション」といった要件も必須となっています。

「少しでも質の高いリハビリをして欲しい」、「より良い状態で家に帰りたい」と希望される方は、施設の「区分」を確認し、「超強化型」や「在宅復帰型」の施設を選択することで、満足度の高いリハビリが受けられるでしょう。

5.健康管理

続いての確認ポイントは「健康管理」に関することです。

これまで何度もお伝えした通り、「老健」の医師は必ず常勤となります。

入所中の療養に使用する薬剤や内服薬などは、配置されている薬剤師が医師の処方に基づき調剤し、すべて施設から処方されます。

医療ニーズの高い方の受け入れを想定し、少なくとも1人は看護職員が夜勤を行う体制(24時間看護職員が配置)の施設が多くあります。

このように「老健」は「特養」に比べると、健康管理という点においては安心できる体制だと言えます。

また「区分」が「超強化型」や「在宅復帰型」の施設では「喀痰吸引の実施割合」、「経管栄養の実施割合」が高く、医療サービスが充実している一つの指標になるため、確認するのが良いでしょう。

しかし、入所中の「他科受診」については、すべて施設の自己負担となることから、積極的に外来受診を勧めにくい実情があります。

入所中に高額や薬剤やの内服薬が必要になったり、繰り返し通院が必要となるケースでは退所となり、入院治療を勧められるケースも珍しくありません

入所中に大きな病気が見つかったり、手術が必要になるケースも同様です。

医師が常勤である「老健」の特徴から、看取りまで行っている施設は多くあります。

しかし、「特養」のように「終の住処(ついのすみか)」としての役割を期待されている施設ではないため、入所の時点から看取りを視野に入れたサービス提供とはなりません。

「中間施設」としての役割を担いつつも、その途中で終末期と判断された場合は無理に退所支援せず、看取りまで対応する施設が多く存在します。

6.スタッフ(支援相談員)の様子や印象

最後の確認ポイントは、言わずと知れた「スタッフの様子や印象」です。

コロナ禍以前は施設内の見学を通し、実際に入所者をケアするスタッフの様子や印象を確認することができましたが、現在は難しい状況です。

よって、まずは申し込みの際、施設の窓口として対応する「支援相談員」が「親身になって話を聞いてくれるか」「丁寧に対応してくれるか」などを観察しましょう。

「支援相談員」は入所した後も施設の窓口として、家族との連絡調整を行う職種です。

「老健」は「中間施設」という位置付けであることから、退所に向けた相談機会も多くあります。

また「区分」が「超強化型」や「在宅復帰型」の施設では、頻回に退所支援が行われることから、複数人の「支援相談員」を配置している施設が多く存在します。

「支援相談員」は、施設内の多職種と連携を図るうえで中心となる存在で、施設全体のケアに対して大きな影響を及ぼします

複数人いる「支援相談員」の印象がすべて悪いとするなら、入所する施設として別の施設を選択する余地があるかもしれません。

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老健に入所するまでの流れ

ここで「老健」へ入所するまでの流れと要件を確認しておきましょう。

入所するまでの流れは以下の通りとなっています

入所するまでの流れ
  1. 問い合わせ・申し込み(可能であれば施設見学)
       ↓
  2. 入所検討委員会の開催
       ↓
  3. 面接・状況調査の実施
       ↓
  4. 診断書・診療情報提供書(紹介状)の作成・提出
       ↓
  5. 入所・契約締結

施設によって多少異なる部分があると思われますが、流れと要件の詳細は申し込みの際に窓口となる「支援相談員」に確認するのが良いでしょう。

「要介護1~5」と入所要件が幅広く、「区分」が「超強化型」や「在宅復帰型」の施設では退所する方も多いため、「特養」に比べると待機者は少なく入所しやすい施設です。

「特養に入居したいけど待機者が多くて入居できない。まずは老健に入居して部屋が空くのを待とう」といった形で「老健」を選ぶ方も多くいます。

1.問い合わせ・申し込み

まずは、施設の窓口となる「支援相談員」へ連絡し、施設の特徴を伺いつつ、申し込みに際する必要書類などの確認を行いましょう。

みなさんが「老健」へ申し込みをする時に把握しておくポイントは、「高額な薬剤や内服薬を必要としていないか」という点です。

「老健」では、入所中の療養に使用する薬剤や内服薬などは、すべて施設の自己負担です。

よって、高額な薬剤や内服薬が必要な場合の多くは、同じ効果の安価な医薬品(ジェネリック)への変更や処方の終了が調整されます。

しかし、健康状態に与える影響が大きかったり、本人・家族からの同意が得られないなどの理由で、薬剤や内服薬の変更・終了が難しい場合は、申し込みを受け付けて貰えないことがあります。

この他にも、施設によっては独自で入所要件を定めている場合があるため、申し込みの際には確認が必要です。

「特養」と同様に、認知症のBPSD症状(徘徊・介護抵抗・暴力行為など)が著しい場合や、日常的な医学管理(点滴治療が必要な方や気管切開しているなど)場合は、申し込みの際に受け付けて貰えないこともあります。

2.入所検討委員会の開催

施設の指針に基づき、定期的に開催されます。

単純な申し込み順ではなく、申し込み者の「要介護度・日常生活自立度」「在宅サービスの利用率」「介護者の状況」などを総合的に判断し、入所の必要度合いを判定した順位が決定されます。

3.面接・状況調査の実施

順位に応じて入所が近づくと、施設のスタッフが本人のいる場所へ出向き、面接・状況調査が行われます。

病院に入院しているのであれば、医療ソーシャルワーカーや病棟看護師、在宅で過ごしているのであれば、家族やケアマネジャーなど、本人のことが分かる支援者との情報共有が行われ、施設でのケアが可能と判断されると、入所決定となります。

ここでも高額な薬剤や内服薬の変更・終了が難しい場合、認知症のBPSD症状が著しい場合日常的な医学的管理が必要な場合などは入所できないことがあります。

4.診断書の作成・提出

入所に際して「感染症に罹患していないか」などを確認するために「診断書」を作成し、提出が必要です。

加えて、主治医から施設の医師へ「診療情報提供書(紹介状)」を作成・提出して貰う必要があります。

5.入所・契約締結

入所日を調整し、契約締結となります。

老健の良い点と悪い点

最後に、良い点悪い点をしっかりと整理してみましょう。

  • 運営基盤が安定している
  • 多職種が配置され、サービスの質が安定して高い
  • 入所一時金が不要で、費用・料金が安価である
    ※特に生活保護世帯と住民税非課税世帯は優遇される
  • 多床室(相部屋)か個室か選択できる
  • 安定した医療サービスが受けられる
    ※医師が常駐され、夜間も看護職員が配置されていることが多い
  • 専門職による質の高いリハビリが受けられる
  • 申し込みを行ってから入所するまで時間がかからない
  • 生活の場ではなく療養やリハビリが目的で、生活の自由度が低い
  • 高額な薬剤や内服薬が必要だと入所できない
    ※入所中はすべて施設の自己負担・認知症ケアには特化していない
  • 日常的な医学的管理はできない
    ※医師などの医療職が常駐している配置基準との矛盾
  • 最期まで過ごせない
    ※次の施設や生活の場を探す必要がある

おわりに・・・

わたしが日頃の業務(特養の生活相談員)において受ける相談の多くは、「病院から退院を求められている」「老老介護で限界だ」「働いているから介護できない」などと焦り、ゆっくりと施設を選ぶ余裕などありません

なぜならば、ほとんどの人が実際に介護が必要となる当事者にならなければ、施設について知ろうとは思わないからです。

これは、実際に介護職として働いている方にも同じことが言えます。

「老健」に限らず、様々な施設について知るきっかけが増えることは、当事者となった際に悩む人が減ることに繋がるはずです。

この記事が、みなさんの家族や大切な人が入所する施設選びや、日々の仕事に役立つことを願います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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