みなさんどうもこんにちは。
元介護士で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。
「素敵な恋をしたい」「家族や友人たちと幸せに暮らしたい」「周囲に認められるような実績をあげたい」など、私たちは「〇〇のようになりたい」という願望を持っています。
そして、願望が生きる活力になっています。
ところが下記のようにその気持ちがこじれ、良くない事態を引き起こす原因となることがあります。
- 「素敵な恋をしたい」…以前の恋人が忘れられず、新しい恋が長続きしない。
- 「家族や友人たちと幸せに暮らしたい」…夫、妻、両親、子ども、友人との関係が思うようにならず、イライラする。
- 「周囲に認められるような実績をあげたい」…仕事をたくさんやり遂げても疲労ばかりが溜まり、やりがいを感じられない。
頑張っているのに全然うまくいかない。堂々めぐりを繰り返すか、むしろ悪い方ばかりに向かってしまう。
満たされない思いを抱えたまま、もがけばもがくほど心が疲れていく。そして、自分だけが疲れ果て、傷ついてしまう・・・。
上記のような悲しい状況の背景には、多くの場合「執着」という「心の歪み」が潜んでいます。
こだわりは喜び、執着には苦しみがある
「物事に『執着』するのは、『諦めない気持ち』の表れだから、悪いことではないのではないか?」と思う人もいるでしょう。
しかし、心理学の視点による「執着」は、「諦めない気持ち」といったイメージや概念とは、全く別のものになります。
例えば、「この契約を何としても勝ち取ろう」とか、「オリンピックで必ず金メダルを取りたい」といったような「何らかの目的を果たしたいという前向きな気持ち」は「こだわり」であって「執着」ではありません。
達成できると嬉しくなり、失敗してどんなに悔しくても充実感があり、「もう一度やってみよう」という気持ちが生まれます。
つまり、「こだわり」には夢や希望があり、ポジティブな状態であると言えます。
それでは、心理学で言う「執着」とは、どのようなものなのでしょうか?
ある人物(モノ)が気になって仕方がなく、「絶対に手に入れたい」「絶対に手放したくない」といったように、心のほとんどが「怖れ」「不安」「悲しみ」などの苦しい感情を伴う状態が、まさに「執着」です。
そこには夢も希望もなく、ネガティブな感情しかありません。
つまり、「こだわり」と「執着」の違いは、「『喜び』が伴うか、『苦しみ』だけが伴うか」という点にあります。
幸せになる「選択肢」をたくさん持とう
「〇〇のようになりたい」という諦めない気持ちは、「こだわり」と同じです。
それなのに、なぜ「執着」ばかりが苦しいのでしょうか?
結論から先に言うと、「『執着』がみなさんの『選択肢』を奪っているから」と言えます。
みなさんおわかりでしょうか?これが「選択肢」を奪われた状態です。
本来なら彼女は、どのような人とでも新たな恋を始めることができるはずです。
しかし、彼女の心は別れた彼に占められていて、「恋をする」という行動や判断の基準が、未だに別れた彼だけになっています。
「彼以上の人に出会いたい」という言葉は、一見前向きな言葉に聞こえますが、彼女にとって「彼がベスト(一番)」であって、「彼ではない他の人では決して満たされない」という気持ちが隠されています。
彼女の別れた彼への「執着」が「選択肢」を持てない状態を作り出しているのです。
執着の罠 ~チャンスを逃す~
みなさんから「選択肢」を奪い、視野を狭めるものが「執着」です。
「執着」が強ければ強いほど、みなさんは周囲が見えなくなり、様々な問題が起こります。その一つが「チャンスを逃す」という問題です。
チャンスがどればけ訪れても、取り逃がしてしまう状態になります。
みなさんがより良い方向に変化したと望んだとしても「執着」が足を引っ張り、可能性の芽を摘んでしまうのです。
例えば、先程の彼女の場合、素敵な男性が近づいてきたとしても「新しい恋をしたい」という発言とは裏腹に、その男性には全く興味が持てません。
別れた彼以外の人が目に入らず、「彼じゃなきゃ駄目」と自分で制限しているからです。
「執着」の罠について、別の例をご紹介します。
彼は「一緒にやろう」という誘いを受けた時、ワクワク感と同時に、強い不安を感じました。
「公務員」として、経済的にも安定していた彼は「新しい道にチャレンジしたい」とう気持ちはありましたが、「安定」を捨てる勇気を持てませんでした。
なぜなら、彼は「お金」にとても苦労した家庭に育ったからです。
彼のチャンスを阻んだものは「経済的安定に対する執着」もっと言えば「お金」に対する強い執着でした。
もしみなさんが、何か新しいことにチャレンジしたいのに行動に移せず、チャンスを逃しているようならば、彼のように何かに「執着」している可能性があります。
執着の罠 ~自分の幸せを後回しにする~
「執着」が引き起こすもう一つの問題は「幸福感を失ってしまう」ということです。
「選択肢」が奪われるということは、みなさんの行動がたった一つの「選択肢」に縛られ、自由がなくなることを意味します。
また、心から余裕が失われ、とても苦しい状態になります。
「執着」した状態では、「選択肢はたった一つではなく、他にも存在する」という認識を失わないことが最優先となります。
ここからは、恋愛を例にしてご説明していきます。
こうなると「恋人を失わないこと」ばかりにエネルギーが向いてしまい、肝心である相手の気持ちや状態が考えられなくなってしまいます。
「執着」が引き起こしていると気付かない恋人は「自分の愛情をなぜ信じてくれないの?」と考えるようになります。
その結果、ずっと怖れていた「恋人の心が離れてしまう」という事態を引き起こすこともあり得るでしょう。
だからこそ、私たちカウンセラーは「執着を手放してしまいましょう」とアドバイスするのです。
手放した瞬間は、みなさんが今一番大切に思っているものが、失われるかもしれません。
しかし、今よりもずっと自由で幸せを感じられるようになります。
執着しているものに気付く
「執着」は恋愛関係だけではなく、夫婦、親子、友人など、あらゆる人間関係で起こり得ます。
その他にも、お金や仕事(経済的安定)だけではなく、持ちもの、住まいや土地、さらには健康や時間など、ものや状況に対しても起きるものです。
下記のリストは、みなさんが「執着しやすいタイプか?」「何に執着しているか?」を確認できるものです。簡単なので、是非やってみて下さい。
執着のチェックリスト | 執着の種別 |
□ 私をこれほど愛してくれる人は、あの人しかいない | 恋人 |
□ お金がないことって、絶対に不幸だと思う | お金 |
□ 会社をクビになったら、今の生活が成り立たなくなる | 会社 |
□ 今の家を失ったら、安心して暮らす場所がない | 家 |
□ 車がなければ、どこにも行くことができない | 車 |
□ 「〇〇が体に良い」と聞くと、試さずにはいられない | 健康 |
□ バツイチなんて恥ずかしいし、ありえない | 結婚 |
□ 忙しくて、いつも仕事に追われていると感じる | 時間 |
いかがでしたか?一見すると「執着」とは関係なく、意外に思えるかもしれません。
しかし、リストは「〇〇でありたい」ではなく「〇〇でなければならない」あるいは「〇〇であっては困る」という強い束縛で表現されていると、お気づきでしょうか?
人やものに気持ちが強くとらわれ、窮屈な考え方に自らを追い込んでしまっているイメージです。
「どうしても気になるものがある」ということは、人間心理においてよくあることですが、自分自身が「執着しやすいタイプか?」「何に執着しているのか?」と、日頃から向き合う習慣を持つことで、「執着」の罠から抜け出すことができます。
「執着」と向き合うことは自身の価値観を確かめる作業となり、最初は辛いことかもしれませんが、続けることで少しずつ自分自身の思考が理解でき、変化していきます。
自分自身を大切にし、傷つかずに幸せをつかんでいきましょう。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。