知らないと損する!老人ホームの特徴と選び方 ~認知症対応型共同生活介護(グループホーム)~

てんぱまる
この記事の著者
業界20年目になる特養の施設長。
地域密着型サービス外部評価調査員・実務者研修講師としても活動中。
保有資格はすべて一発合格。

【保有資格】
社会福祉士/介護福祉士/保育士/幼稚園教諭二種免許状/公認心理師/第一種衛生管理者/主任介護支援専門員

マルチーズが大好き。

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てんぱまる
てんぱまる

みなさんどうもこんにちは。

元介護士で、現役ソーシャルワーカー×心理師の「てんぱまる@tenpa_mal」です。

みなさんの家族や大切な方に介護が必要となった場合、施設に入居することが選択肢の1つとなります。

しかし施設を選ぶにしても、様々な種類の施設があり「どの施設がよいのか分からない」と悩んでしまう方は多いはず。

また、実際に介護職として働いている方の中にも、「自分の働いている施設はどのような特徴なのか」「他の施設と比べてどう違うのか」について、知らない方は多くいます。

今回は「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」に続く第3弾として、認知症ケアに特化した施設である「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」の特徴についてお伝えします。

注意この記事は、障害福祉サービスの「共同生活援助(グループホーム)」ではないため、お間違えのないようお願いいたします。

「認知症対応型共同生活介護」の呼び名は介護保険法上によるもので、一般的には「グループホーム」と呼ばれています

わたしは「地域密着型サービス外部評価調査員」として、これまで20か所以上の「グループホーム」を訪問・評価してきました。

調査員の立場でしか知り得ない実情や複雑な制度についても分かりやすく、丁寧にまとめています。

最後までご覧ください。

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目次

グループホームの概要

「グループホーム」の設置主体は、個人ではなく法人格であることが求められています。

その一方で、「特別養護老人ホーム」や「介護老人保健施設」のように社会福祉法人や医療法人でなければならないといった制限はなく、民間の営利企業やNPOなども設置主体となることが可能です。

公的な施設ではなく設立のためのハードルは低いですが、介護保険法を根拠に人員配置や設備などの指定基準が明確に定められています。

そのためすべてではないものの、社会福祉法人・医療法人以外のNPO法人・株式会社などにおいては、介護や福祉のノウハウが少なく、運営基盤が脆弱な事業所も存在するため注意が必要です。

また「グループホーム」は介護保険サービスであることから、入居するためには「要支援2~要介護5」の認定を受ける必要があり、「施設のある市町村に住民票をもつこと」が条件となっています。

さらには「認知症対応型」といった名前の通り、「医師により認知症と診断を受けた方」という入居要件があり、誰でも入居できる施設ではありません。

「グループホーム」の定員は、ユニットという単位を用いて定められています。

 1つのユニットは5〜9人で、1つの「グループホーム」の上限は原則2ユニットです。

 つまり「グループホーム」は最大で18名といった、少人数の施設と言えます。

「認知症になっても役割を持ちながら個別ケアを受けたい」「自宅と同じように暮らしたい」「住み慣れた地域で暮らしたい」といった理由で「グループホーム」への入居を希望する方が多くいます。

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グループホームの種類

続いては「グループホーム」の種類についてご説明します。

「グループホーム」には大きく分けて、下記の3種類があります。

  1. サテライト型
  2. 単独型
  3. 併設型

1.サテライト型

「サテライト型」は、1ユニット以上の本体施設とは別の場所で運営されている施設を指します。

原則的には、公共交通機関などで20分以内の場所に配置されている必要があり、同法人が運営しなければなりません。

本体施設があるため、通常の人員配置基準や設備基準よりも緩和されているのが特徴です。

2.単独型

「単独型」とは本体施設のない定員18名以下の施設です。

民家や一戸建てを新築・改築した施設となります。

3.併設型

「併設型」とは、「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」「デイサービス」などに併設している施設を指します。

本体施設のない定員18名以下の施設であることは、変わりません。

グループホームの費用・料金と内訳

みなさんが施設を選ぶ際、最も気になるのが「いくらかかるの?」ではないでしょうか。

施設見学や申込みの際、「まずは先にいくらかかるか教えて欲しい」という方は多くいます。

「グループホーム」の費用・料金形態は、入居する方の要介護度・施設のある地域・施設の設備等に異なるのが特徴です。

内訳は下記の6項目となります。

  1. 入居一時金(初期費用)
  2. 認知症対応型共同生活介護費
  3. 介護サービス加算
  4. 居住費
  5. 食費
  6. 日常生活費

1.入居一時金

「グループホーム」に入居する際は、一般的に入居一時金(保証金)が必要です。
※不要の施設も存在します

「入居一時金(保証金)」とは、賃貸で言うところの「敷金」に近いと考えればわかりやすいでしょう。

国で基準額が定められているわけではないため地域差も大きく、すべての施設で一定ではありません
※数万円~数百万円と必要な金額に差があります。

後でトラブルにならぬよう、必ず確認するようにしましょう。

2.認知症対応型共同生活介護費

入居すると負担する基本的なサービス費用・料金です。

介護保険が適用され、入居する方の世帯所得によって1割~3割と自己負担が変わります。

もちろん、世帯所得が多い方の負担割合は高くなります。

また、要介護度によっても違いがあり、「要介護5」と認定を受けた方が1番大きな負担額となります。

日額のため、月の途中で入居・退居しても、施設でケアを受けた日数のみ請求されます。

3.介護サービス加算

こちらも「認知症対応型共同生活費」と同様に介護保険が適用され、1割~3割の自己負担となります。

より良いケアを提供するための「設備」「人員配置」「サービス」などに応じて追加される仕組みになっています。

日額、月額と加算の種類に応じて変動するため、確認するのが良いでしょう。

4.居住費

「居住費」とは、賃貸で言うところの「家賃」のようなものです。

「特養」「老健」のように国で基準額が定められているわけではないため地域差も大きく、すべての施設で一定ではありません
※数万円~数十万円と必要な金額に差があります。

さらには、生活保護世帯・住民税非課税世帯に対しても減免制度の適応にはなりません。

こちらも後でトラブルにならぬよう、しっかりと確認するようにしましょう。

5.食費

基本的には1食分で料金が請求されます。

こちらも「居住費」同様に、国で基準額が定められているわけではないため地域差も大きく、すべての施設で一定ではありません

同じく、生活保護世帯・住民税非課税世帯に対して、減免制度の適応にはなりません。

「食事の質」と「費用・料金」のバランスはとても大切となるため、しっかりと確認しましょう。

6.日常生活費

理美容代、医療費(医療保険適応)、娯楽費、日用品、嗜好品、日常的な洗濯などにかかったものは介護保険の対象外で、自己負担となります。

また「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」とは違い、おむつ代についてもすべて自己負担となります。

さらには、介護用ベッドや車椅子も備品として設置されていない施設もあり、自己負担で購入やレンタルを求められるケースもあります。

グループホームの費用・料金の減免制度

「グループホーム」で適応となる減免制度は下記の2つです。

  1. 高額介護サービス費
  2. 高額医療・高額介護合算療養費制度

1.高額介護サービス費

「高額介護サービス費」は、介護保険を利用した「介護サービス費」の自己負担額が月額の限度額を超えた場合に、払い戻される制度です。

こちらは世帯の収入に応じて、区分ごとに負担額の上限が決められています。

なお「高額介護サービス費」の対象は、介護保険適用のサービスにかかる費用のみです。

「食費」「居住費」「日常生活費」などは対象となりませんので、気を付けてください。

詳しい内容はこちらをご覧ください。

2.高額医療・高額介護合算療養費制度

「高額医療・高額介護合算療養費制度」は、医療保険と介護保険両方の自己負担合計額が年間の限度額を超えた場合に、払い戻される制度です。

所得や年齢に応じて、区分ごとに負担額の上限が決められ、世帯単位となります。

こちらも「居住費」「食費」「日常生活費」は払い戻しに含まれません。

グループホームの人員配置基準

「グループホーム」の人員配置基準は、以下の通りに定められています。

  1. 介護従事者…利用者の数が3またはその端数を増すごとに1以上
    ※有する資格…介護福祉士、実務者研修修了、初任者研修修了、認知症ケア専門士等
  2. 計画作成担当者…1以上(1を超えて配置するにあたっては、計画作成担当者のうち、少なくとも1人は介護支援専門員をもって充てなければならない)
    ※有する資格…介護支援専門員(ケアマネジャー)
  3. 管理者…ユニットごと(常勤で管理上支障がない場合は、同一敷地内の他職種と兼務可
    ※3年以上認知症である者の介護に従事した経験を有するものであって、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者
  4. 代表者…理事長や代表取締役が該当(法人の規模によって合理的でないと判断される場合においては、地域密着型サービスの事業部門の責任者などを代表者として差し支えない)
    ※認知症である者の介護に従事した経験を有する者又は、保健医療サービス若しくは福祉サービスの提供を行う事業の経営に携わった経験を有するものであって、別に厚生労働大臣が定める研修を修了している者

グループホームの基本サービスと選ぶポイント

「グループホーム」では計画作成担当者が作成する「認知症対応型共同生活介護計画」に沿ったかたちで、食事(栄養管理)、入浴、排せつ(おむつ、トイレ、褥瘡予防)、整容(口腔衛生等)、相談及び援助、健康管理などのサービスが提供されます。

認知症の状態にある利用者の心身の状態に応じて、安心で快適に日常生活を送ることができるよう整備されています。

また、法令においてスタッフへ研修(高齢者虐待・身体拘束・感染症など)を受講させるための必要な措置が義務化され、ケアの質が担保される体制になっています。

このように「グループホーム」の基本となるサービスは運営基準に沿って整備され、認知症ケアに特化されたものになっていますが、地域の特性や人員配置などによりサービスの内容や質に違いが出ます。

ここからは「施設を選ぶ時に確認するポイント」について、詳しくご紹介していきます。

ポイントは下記の5つとなります。

  1. 設備・環境(ハード面)
  2. 食事
  3. 地域との繋がり(外出・行事・レクリエーションなど)
  4. 健康管理
  5. スタッフ(管理者・計画作成担当者)の様子や印象

1.設備・環境(ハード面)

まず一番最初に確認するポイントは、施設の「設備や環境(ハード面)」です。

さらにポイントは下記の3つに細分化されます。

  1. 居室
  2. 浴槽・浴室
  3. 施設全体の雰囲気

1.居室

特に重要なのは、利用者のプライベートスペースとなる「居室」の環境ではないでしょうか。

居室は利用者が施設の生活において、最も長い時間を過ごす場所となります。

また地域や「居室」の環境によって、負担しなければならない費用・料金にも大きく影響があります。

居室のなかに「トイレや洗面所はついているか」「エアコンやストーブはあるか」「介護用ベッドなどの備え付けの家具はあるか」などをしっかりと確認し、自身の希望に合った居室を選びましょう。

2.浴槽・浴室

もうひとつ重要なのが「浴槽・浴室」の環境です。

民家や一戸建てなどを改修した施設では「機械浴(重度化しても入浴できる浴槽)」が設置されておらず、一般的なユニットバスである施設がほとんどです。

つまり、施設に「機械浴」が設置されているかどうかは「重度化しても住み続けられるか」の分かれ道となります。

併設型の施設では、併設している「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」に設置されている「機械浴」で入浴できる場合もあります。

「重度化しても施設を変えずに暮らし続けたい」という希望がある方は、必ず確認しましょう。

3.施設全体の雰囲気

共同生活室(リビング)など、施設全体の雰囲気も大切にしたいポイントです。

コロナ禍以前は、実際に施設内を見学してから申し込むことができました。

しかし、現在は感染症拡大防止の観点から、施設の中まで自由に見学することができないところが増えています。

ホームページやパンフレットの印象だけで入居を申し込み、決めてしまう方もいますが、可能な限り直接施設へ出向き、外観や玄関先だけでも確認することをお勧めします。

2.食事

次の確認ポイントは「食事」に関することです。

「グループホーム」では「食事が利用者の楽しみとなるような支援」が求められ、暮らしの場として「買い物」「調理」「食事」「後片付け」など、利用者の個々の力を活かしながらスタッフが一緒に行う工夫が行われています。

そのため「特養」のように専門職(栄養士または管理栄養士)が高齢者に合わせた献立を作成し、個々の状態に合わせた食事を提供する施設は多くありません。

特別な食事を希望する方は、病気や嚥下機能に合わせた療養食(糖尿病食・心臓病食等)や嚥下調整食(介護食)が提供できる施設なのかを確認しましょう。

「刻み食」「ソフト食」「ゼリー食」「ムース食」「ミキサー食」など、施設によって提供できる嚥下調整食(介護食)の呼び名や種類は異なります

「食事が利用者の楽しみとなるような支援」といっても、調理自体を外部委託(外注した調理済みの食材を温めるだけ)する施設もあれば、すべて手作りで調理する施設など、調理の体制・工程は様々で、味や見た目には違いがあります。

「季節や行事に合わせた食事が提供されているか」など、申し込みの際に「食事」に関することを確認すると良いでしょう。

3.地域との繋がり(外出・行事・レクリエーションなど)

「グループホーム」は地域密着型サービスとして、施設(認知症高齢者)が孤立することなく地域から受け入れられ、地域活動や人との関わりを積極的に担っていくことが求められています(現在はコロナ禍において、自粛・制限している場合が多い状況です)

「日常的な外出やレクリエーションの機会はあるのか」「地域の一員として町会・自治会へ参加しているか」「行事や季節の催し事に参加しているか」「普段の暮らしのなかで地域住民との関わりはあるか」といった視点で、実際の地域との繋がりを確認してみましょう

そして「グループホーム」は「運営推進会議」の開催(2か月に1回以上)や「地域密着型サービス外部評価」(原則として年1回だが、一定の条件を満たせば2年に1回へ緩和)を受け結果を公表することが義務付けられています。

「運営推進会議」とは、外部の人々の目を通して施設の取り組み内容や具体的な改善課題を話し合ったり、地域の理解と支援を得るための機会です。

「地域密着型サービス外部評価」とは、施設が行った自己評価をもとに第三者である外部評価調査員が訪問し、一定の評価項目に基づいて実態を調査します。施設とともに改善点を明らかにすることを通してサービスの質の向上を促すとともに、利用者・家族の安心と満足、社会的信頼の確保を目的としています。

「地域密着型サービス外部評価」の結果については、WAMNET(ワムネット)で公開されています。

申し込みの前に施設を検索し、閲覧してみることをお勧めします。

4.健康管理

続いての確認ポイントは「健康管理」に関することです。

「グループホーム」には医療職(医師や看護師)の常駐は義務付けられておりません

24時間常駐している施設はほとんどなく、配置されていたとしても非常勤です。

よって医療ニーズの高い(常時痰吸引が必要な方や気管切開など)入居者の受け入れは難しい施設がほとんどです。

緊急時で医療職が必要とされる際には、協力法人や医療機関から駆けつけるような体制となっていますが、実際にはすぐに駆けつけることができず「介護職で対応せざるを得ない」というのが実情のようです。

そもそも「グループホーム」は「認知症高齢者の暮しらの場」という施設の位置づけから、医療ニーズの高い(常時痰吸引が必要な方や気管切開など)入居者の受け入れは想定されていません。

24時間の医療サービスが必要な方は「介護老人保健施設」「介護医療院」「有料老人ホーム」など、「グループホーム」以外の施設も選択肢に入れて考えてみましょう。

また「浴槽・浴室の環境」のところで触れたように、「最期まで住み続けることができるか」といったところも大切なポイントです。

地域の実情(死亡診断してくれる医師がいる)によりますが、「終の住処(ついのすみか)」としての役割を担い、看取りができる施設もあります。

看取りができなくとも「ぎりぎりまで施設で過ごし、最期の死亡診断は協力医療機関である病院に搬送してから」「人生の最終段階となった場合は同法人の特養・老健に移る」といった選択がとれる施設もあります。

しっかりと確認するのが良いでしょう。

5.スタッフ(管理者・計画作成担当者)の様子や印象

最後の確認ポイントは、言わずと知れた「スタッフの様子や印象」です。

コロナ禍以前は施設内の見学を通し、実際に入居者をケアするスタッフの様子や印象を確認することができましたが、現在は難しい状況です。

よって、まずは申し込みの際、施設の窓口として対応する「管理者・計画作成担当者」が「親身になって話を聞いてくれるか」「丁寧に対応してくれるか」などを観察しましょう。

「管理者・計画作成担当者」は入居した後も施設の窓口として、家族との連絡調整を行う職種です。

また「管理者・計画作成担当者」は、施設内の連携を図るうえで中心となる存在で、施設全体のケアに対して大きな影響を及ぼします

「管理者・計画作成担当者」の印象が悪いとするなら、入居する施設として別の施設を選択する余地があるかもしれません。

グループホームに入居するまでの流れと要件

ここで、「グループホーム」へ入居するまでの流れと要件を確認しておきましょう。

入居するまでの流れは下記の通りとなっています。

入居するまでの流れ
  1. 問い合わせ・申し込み(可能であれば施設見学
       ↓
  2. 入居検討委員会の開催
       ↓
  3. 面接・状況調査の実施
       ↓
  4. 診断書・診療情報提供書(紹介状)の作成・提出
       ↓
  5. 入居・契約締結

施設によって多少異なる部分があると思われますが、流れと要件の詳細は申し込みの際に窓口となる「管理者・計画作成担当者」に確認するのが良いでしょう。

「要支援2~要介護5」と入所要件が幅広いため、「特養」に比べると待機者は少なく入居しやすい施設です。

ただし「特別養護老人ホーム」「介護老人保健施設」のように生活保護世帯・住民税非課税世帯に対する減免制度が適応にならず、さらにはおむつ代も負担する必要があることから、費用や料金は高くなるのが一般的です。

1.問い合わせ・申し込み

施設の窓口となる「管理者・計画作成担当者」へ連絡し、施設の特徴を伺いつつ、申し込みに際する必要書類などの確認を行いましょう。

「グループホーム」の入居要件は「要支援2~要介護5の認定を受けていること」「施設のある住所に住民票があること」「認知症と診断を受けていること」です。

ただし施設によっては、この他にも独自で入居要件を定めている場合があるため、申し込みの際には確認が必要です。

認知症ケアに特化しているといえども、認知症のBPSD症状(徘徊・介護抵抗・暴力行為など)が著しい場合や、医療ニーズが高い(頻回な痰の吸引が必要、気管切開しているなど)場合は、申し込みの際に受け付けて貰えないこともあります。

2.入居検討委員会の開催

施設の指針に基づき、定期的に開催されます。

単純な申し込み順ではなく、申し込み者の「要介護度・日常生活自立度」「在宅サービスの利用率」「介護者の状況」などを総合的に判断し、入居の必要度合いを判定した順位が決定されます。

3.面接・状況調査の実施

順位に応じて入居が近づくと、施設のスタッフが本人のいる場所へ出向き、面接・状況調査が行われます。

病院に入院しているのであれば、医療ソーシャルワーカーや病棟看護師、在宅で過ごしているのであれば、家族やケアマネジャーなど、本人のことが分かる支援者との情報共有が行われ、施設でのケアが可能と判断されると、入居決定となります。

この場面でも、認知症のBPSD症状が著しい場合や医療ニーズが高い場合は、入居できないことがあります。

4.診断書の作成・提出

入居に際して「感染症に罹患していないか」などを確認するために「診断書」を作成し、提出が必要です。

加えて、主治医から施設の医師へ「診療情報提供書(紹介状)」を作成・提出して貰う必要があります。

5.契約締結・入居

入居日を調整し、契約締結となります。

グループホームの良い点と悪い点

最後に、良い点と悪い点をしっかりと整理してみましょう。

  • 軽度者(要支援2から)でも入居できる
  • 個室でプライベート空間が充実している
  • 個別ケア(ユニットケア)が受けられる
  • 認知症ケアに特化している
  • 住み慣れた場所で地域との繋がりを持ちながら暮らせる
  • 生活の中で役割が持てる
  • 申し込みを行ってから入居するまで時間がかからない
    ※特養に比べると待機者は少ない
  • 運営基盤が脆弱
    ※特に社会福祉法人・医療法人と比べて株式会社等で運営されている場合に多い
  • 施設のある場所に住民票がなければ入居できない
  • 認知症の診断がなければ入居できない
  • 入居一時金が必要で、費用・料金の負担が大きい
    ※特に生活保護世帯と住民税非課税世帯でも優遇されない
  • 医療サービスは十分とは言えない
    ※特に医師は常駐されず、夜間は看護職員が配置されていないことが多い
  • 最期まで過ごせない
    ※次の施設や生活の場を探す必要がある

おわりに・・・

わたしが「地域密着型サービス外部評価調査員」として一番強く感じたのは、すべてのポイントが優れている施設はないということです。

ありきたりな話となってしまうかもしれませんが、「本人の心身の状況」「本人・家族の希望」「経済状況」など様々なことを考慮したうえで施設を選択することが理想です。

また日頃の業務(特養の生活相談員)において、受ける相談の多くは「病院から退院を求められている」「老老介護で限界だ」「働いているから介護できない」などと焦り、ゆっくりと施設を選ぶ余裕などありません

なぜならば、ほとんどの人が実際に介護が必要となる当事者にならなければ、施設について知ろうとは思わないからです。

これは、実際に介護職として働いている方にも同じことが言えます。

「グループホーム」に限らず、施設について知るきっかけが増えることは、当事者となった際に悩む人が減ることに繋がるはずです。

この記事が、みなさんの家族や大切な人が入居する施設選びや、日々の仕事に役立つことを願います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

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